2025年省エネ基準義務化!住宅の省エネ性能はどう変わる?

2025年以降、省エネ性能が一定の基準に達しなければ新築住宅が建築できなくなることをご存じでしょうか?

政府は2050年のカーボンニュートラル目標を掲げており、その達成に向けて住宅の省エネルギー化は重要な課題となっています。
現行法では、延べ床面積300㎡以上の中規模・大規模建築物(非住宅)までが、省エネ基準への適合義務対象となっておりますが、2025年度以降からは、小規模建築物(非住宅)や住宅についても対象となります。

今回の記事では、住宅の省エネルギー性能の評価の仕方と、省エネ基準の義務化について分かりやすく解説します。

2025年以降、すべての建物に省エネ基準適合が義務化

国土交通省は、2025年4月以降に着工する全ての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることを発表しています。

これに対応して、ハウスメーカー各社も自社の省エネ性能の向上に取り組んでおり、施主の省エネ性能への関心はますます高まっていくでしょう。

住宅の省エネルギー性能とは?

まずは、住宅の省エネルギー性能を評価するための基準について解説します。

住宅の省エネルギー性能を評価する2つの基準

住宅の省エネルギー性能を評価する方法として、省エネ法では次の二つの基準が採用されています。

1住宅の窓や外壁などの断熱性能を評価する基準

断熱性能の評価には、「UA値(ユーエー値:外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(イータエーシー値:平均日射熱取得率)」の二つの性能数値を用います。

・UA値
UA値は室内の熱が外にどれだけ逃げてしまうかを表す数値です。
UA値が低いほど住宅の熱損失が少ない(≒気密断熱性能が良い)ことになります。

・ηAC値
ηAC値は太陽の熱がどれだけ室内に伝わるかを表す数値です。
夏の冷房空調負荷を算定するときに用い、この数値が低いほど真夏の日射の影響を受けにくく、冷房にかかるエネルギーが少なく済む住宅であると言えます。

2設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準

「一次エネルギー」とは、発電や燃焼に要する原燃料に含まれるエネルギーを指します。
省エネ法では、住宅の空調や照明などに使用したエネルギーを一次エネルギーに換算して評価します。
一次エネルギー消費量の評価対象となるのは、下記の設備です。

・暖房設備
・冷房設備
・換気設備
・照明設備
・給湯設備
・その他設備(家電や調理設備)

住宅の省エネ基準

省エネ法で適合が義務付けられる住宅の「省エネ基準」適合とは、下記の二つを満たしている住宅であることを指します。

1UA値/ηAC値が地域ごとに定められた基準値以下

地域ごとのUA値/ηAC値の基準を下記にまとめてみました。

「省エネ基準」は住宅性能評価制度の「断熱性能等級4」に相当します。
その上位基準である「ZEH基準(等級5)」「HEAT20 G2相当(等級6)」「HEAT20 G3相当(等級7)」もありますので、住宅の断熱性能を比較する際の参考にしてください。

2一次エネルギー消費量が定められた基準値以下

先述の評価対象となる設備に使用する一次エネルギー消費量を、設計と使用する機器の性能により算出し評価します。
その合計値が、標準的な設備仕様と住宅規模により定められた「基準一次エネルギー消費量」よりも下回ることが、「省エネ基準」適合の条件となります。

住宅の省エネルギー性能とは?

「省エネ適判制度」とは、正式名称を「建築物エネルギー消費性能適合性判定」と言います。
これは建築しようとする建築物が「省エネ基準」に適合しているかを第三者機関が判定する制度です。

第三者機関の判定の結果、「省エネ基準」に適合していると認定された場合は「適合性判定通知書」が交付されます。

これを建築確認申請時に添付することで確認済証が交付され、建築の着工が可能となる制度です。

省エネ適判の対象となる建物

現在は、非住宅用途かつ300㎡以上の建築物を新築や増改築する場合に省エネ適判の対象となっており、それ以外の建物の省エネ基準適合は努力義務に留まっています。

2021年4月からは、省エネ適判の対象建築物でなくても省エネ性能を施主に説明することを義務付ける「省エネ説明義務制度」がスタートしています。

2025年からは一般住宅も含めて全ての建物で省エネ適判が義務化

法改正で、2025年4月以降に着工する全ての建築物に「省エネ基準」への適合を義務付けることが決まっています。これにより、一般住宅も含めて全ての建築物で「省エネ適判」が必要となります。

建物の省エネ性能に対しての評価と厳正な審査が全物件で実施され、一定の基準に達しない建物は建築することができなくなります。

住宅の省エネルギー性能を上げるためには

住宅の省エネ性能を向上させるための重要なポイントを、いくつかご紹介します。

建物の配置と形状

敷地条件が許されるのであれば、建物は東西方向に長い長方形のプランを選びましょう。

夏場は西側の外壁が最も日射の影響を受けます。そのため建物の形状を可能な限り東西方向に長い長方形とすると、西側の外壁面積が減るために熱負荷が減り、夏場の日射による冷房空調エネルギー消費量を抑えることができます。

また、凹凸の多い複雑な形状は外壁面積が増えるため、冬の熱損失や夏の熱負荷が増え、省エネ性能上は好ましくありません。

窓の断熱強化

住宅においては、窓からの熱損失が全体の6割を超えると言われています。
ガラスは「Low-eペアガラス」、サッシは「アルミ樹脂複合サッシ」や「樹脂サッシ」等性能の優れたものを選定しましょう。

太陽光発電設備の設置

太陽光発電設備の設置もお勧めです。省エネ法の計算では、太陽光の売電分を除いた自家消費分は住宅設備の一次エネルギー消費量から差し引かれるため優位になります。

蓄電池を設置すると昼間の発電余剰分を蓄電しておき、夜間消費に回せるようになります。
蓄電池の代わりに電気自動車のバッテリーを利用する「V2H」と電気自動車の組み合わせも、住宅の省エネに効果的です。

ZEH住宅を建てる

「ZEH(ゼッチ)」住宅とは「Zero Energy House(ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称です。
住宅の断熱性能を強化し省エネ性能に優れた機器を導入することにより、一次エネルギー消費量を抑えます。
その上で太陽光発電設備を設置してエネルギーを創出した分をエネルギー削減量として差し引き、トータルでの一次エネルギー消費量収支がマイナスとなる住宅のことです。

環境省や経産省が用意しているZEH補助金が受けられ、かつ税金控除や金利優遇も受けられるケースがあります。

今後も段階的に省エネ基準の引き上げが予定されている

国土交通省は今後も下記の方針を打ち出しています。

  • 2030年度以降、新築される住宅・建築物について、ZEH準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す
  • 2050年に住宅・建築物のストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す

このように「省エネ基準」を段階的に引き上げ、さらには既存住宅の改修にも適合義務の範囲を広げる見通しとなっています。

トヨタホームのスマートハウスとゼロ・エネルギーハウス

ここまで、住宅の省エネルギー性能と「省エネ基準」について解説してきました。
頻繁な法改正で、住宅に求められる省エネ性能は年々厳しくなっています。
今後は建築会社だけでなく、建築主も住宅の省エネルギー性能に無関心ではいられなくなっていくでしょう。

トヨタホームでは、住宅の省エネルギー性能を高めた「Smart House(スマートハウス)」と「ZEH(ゼロ・エネルギーハウス)」をご提案します。

まとめ

改正建築物省エネ法が2022年6月13日に参議院本会議で可決・成立したことに伴い、2025年以降、省エネ性能が一定の基準に達しなければ新築住宅が建築できなくなりました。

2050年カーボンニュートラルの実現に向け、建築物分野での省エネ対策が加速され、「2030年度以降、新築される住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、更に「2050年に、住宅・建築物のストック平均で ZEH・ZEB 基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す」といった方針が発表されています。

「ZEH・ZEB基準」は従来の「省エネ基準」より厳しいものになるため、2025年度よりも2030年度、更に2050年度からはさらに厳しく引き上げられるということになります。

将来的にも、建築物の省エネ性能はより高いものが求められる時代へとなっていくでしょう。

トヨタホームでは国の最新基準を満たした仕様の住宅をご用意しています。

省エネ対策の詳細は住宅展示場にて説明しておりますので、お気軽にスタッフへお問い合わせください。

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