【2022年9月改正】不動産広告の記載内容が変わる!広告改正の重要ポイント
住まい探しをしていると、街の不動産屋さんの店頭に貼られている不動産情報のチラシについ足を止めて見入ってしまう、という方も多いのではないでしょうか。
物件情報が手際よくまとめられた不動産のチラシやインターネット広告は、不動産公正取引規約に定められた事項を遵守して作成されています。
そして、この不動産公正取引規約が10年ぶりの改正により、2022年9月1日から規約の内容が変更されたのはご存じでしょうか?
不動産公正取引規約が改正されたことで、広告に記載しなければならない事項が新設されたり、今までの事項の記載方法が緩和・厳格化されたりしています。
本記事では、不動産広告の記載事項変更の8つのポイントを挙げ、各ポイントごとの注意点などを解説していきます。
不動産広告記載変更の8つのポイント
2022年9月に改正された不動産公正取引規約では、さまざまな項目が追加、加筆、修正されています。
その変更の中で、代表的な変更点を8つ紹介していきます。
不動産公正取引規約の代表的な変更点は、次のとおりです。
- 物件種別の追加
- 表示項目の新設、追加
- 物件名称の使用基準
- 二重価格の表示の基準
- 住宅ローンの表示項目
- 2戸(区画)以上の物件は最短と最長時間を併記
- マンションやアパートの距離表示の起点変更
- 電車乗車時間
以下、詳しく解説していきましょう。
不動産広告で記載が新設された2項目
不動産公正取引規約の改正で新設された物件種別や、今までの項目に追加、記載内容が緩和・厳格化された項目を紹介していきます。
物件種別の追加
新たに「一棟リノベーションマンション」が物件種別に追加されました。
一棟リノベーションマンションは、中古の一棟マンションやアパートの外装から内装まで全てを一新された(リノベーションされた)建物のことを言います。一棟リノベーションマンションという物件種別が新たに加えられ、一棟リノベーションマンションを広告掲載するときには新築マンションと同じ項目を広告に記載しなければなりません。
また、一棟マンションやアパートは以前から物件種別としてありましたが、今回の改正で一戸建て(新築・中古問わず販売戸数が1戸のもの)と同じ広告表示にしなければならないとされました。
表示項目の新設、追加
前述の一棟マンションやアパートは、一戸建ての販売に必要な記載事項に加え、住戸数やそれぞれの住戸の専有面積(最小面積と最大面積)、建物の主要な部分の構造および階数などを記載しなければならないことも新たに追加されました。
不動産広告で記載が緩和される3項目
不動産公正取引規約の変更の中には、一部、今までの広告記載内容を緩和する項目が設けられました。
ここからは、広告表示が緩和された項目を3つ紹介していきます。
物件名称の使用基準
不動産の名称には、〇〇駅前マンションや、〇〇公園ハイツなどの名前が付けられます。
この地域的な名前を入れるには条件がありましたが、この名称を入れる条件が緩和されました。
改正前はマンションやアパートから直線で300m以内の公園や庭園、旧跡などだけが名称に利用できました。しかし改正後は、海、湖沼、河川の岸や堤防が追加されました。
また、改正前のときは街道などの道路の名称を接道している道路名しか付けられなかったのが、直線距離50m以内ならば使用可能になりました。
二重価格の表示の基準
不動産広告には値下げ前の金額が二重線などで消され、新価格に変更されましたと別の金額が表示されていることがあります。これを二重価格の表示と言いますが、この二重価格の掲載要件も緩和されました。
改正前は変更前の価格が広告されてから3ヶ月以上販売していることが条件でしたが、改正後は販売期間が2ヶ月以上あれば二重価格を表示しても良いとされました。
住宅ローンの表示項目
改正前の不動産広告には、次のような項目を掲載しなければなりませんでした。
- 金融機関の名前や都市銀行、地方銀行、信託銀行などの金融機関の種類
- 提携ローンなのか紹介ローンなのか
- 融資限度額
- 借入金の金利および利息を徴する方法(固定金利型や変動金利型などの種別)または返済例(借入金や返済期間、金利などの返済に関係する条件を記載)
改正後は、提携ローンなのか紹介ローンなのかと、融資限度額の記載はしなくても良いとされました。
不動産広告で記載が強化される3項目
規約が改正されたことにより、広告の内容をより詳細に記載しなければならない項目ができました。
ここからは、掲載内容が厳しくなった項目を紹介していきます。
多区画の分譲地の距離表示方法が変わる
改正前の広告では、駅から一番近い分譲区画までの距離数、徒歩分数を記載すれば良いことになっていました。しかし、駅から一番遠い分譲区画が駅から一番近い分譲区画に比べ相当距離がある場合、駅から遠くの分譲区画を購入する方にとって、実際の徒歩分数が広告表示の徒歩分数と比べて大きく異なる、という問題が生じていました。
この点を解消するため、改正後は、一番近い分譲区画と一番遠い分譲区画の距離表示や徒歩分数を表示しなければならなくなりました。このことによって〇〇駅から徒歩5分~徒歩8分というような記載の仕方に変更となります。
なお、まだ販売していない区画が一番遠い分譲区画の場合は、広告に掲載する必要はありません。あくまで現在、販売されている区画の最短時間と最長時間を記載する必要があるだけです。
マンションやアパートの距離計測の起点を建物の出入口から計測
改正前は、駅などの目標施設からマンションの敷地までの距離計測をしていました。しかし、大型複合型マンションの場合、マンションの敷地からマンションの入口(いわゆるエントランス)まで遠いというケースが多く、表示された徒歩分数が現実と合いません。
そのため改正後は、目標施設から敷地までではなく、マンションのエントランスまでの徒歩分数を記載することになりました。
注意点としては、エントランスが複数ある場合には一番近いエントランスまでの距離測定表示でよいことです。
目標施設がマンションの北側エントランスに最も近い場合でも、メインのエントランスは南側という場合があります。このようなときには広告はあくまで北側エントランスから測るため、南側エントランスから目標施設に行くには距離が広告より多くなるというケースが出てきてしまうので、注意が必要です。
電車の乗車時間や乗り換え時間の明記
改正前は電車の乗車時間に特段の決め事はありませんでしたが、改正後からは朝ラッシュ時の時間と乗り換え時間の明記が必要になりました。
特に変わったと言えるのが、乗り換え時間の明記です。改正前は乗り換え時間の明記は必要ありませんでしたが、改正後からは電車などの乗り換え時間の明記が必要になります。
まとめ
不動産広告の記載内容は、不動産公正取引規約に定められた事項を遵守し記載していきます。
この不動産公正取引規約が10年ぶりに改正され、2022年9月1日より新しい不動産表示の広告に変わりました。
新しい広告表示方法については8つのポイントがあります。
特に、分譲地(分譲戸建)から目標施設までの最短距離と最長距離の表示、マンション出入口が複数あるときの距離計算、電車の乗車時間は、不動産購入を検討する方にとって良く見ておかないといけない事項です。
不動産を購入するときには、不動産広告は非常に重要な情報源になるため、広告の見方や変更点を知っておくことは、後々のトラブルを防ぐためにも大変有効だと言えるでしょう。
物件選びに失敗しないためにも専門的な知識は不可欠です。
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