使いやすいテレワーク部屋の工夫とは?
近年、働き方改革の一環としてフレックスタイム制の導入が促進されてきました。勤務する時間や場所の制約が緩やかな「テレワーク」は、フレックスタイム制の進化系とも言えます。
2020年以降の新型コロナウィルスの感染拡大により、通勤電車やオフィス内での密集を避けるため在宅ワーク(テレワーク)を導入する企業が一気に拡大しました。
テレワークを導入してもIT環境が整っていれば社内外でのコミュニケーションにも問題が無く、労働生産性がさほど落ちないことも認識されつつあります。
通勤のストレスから解放され余暇時間が増えることで心身共に健康に過ごせて、かつ家庭内でのコミュニケーションが増えることのメリットがとても大きいため、コロナ禍が収束に向かっても、テレワークに一定の需要は残り続けるでしょう。
ただし、作業性にストレスを感じるような間取りや設備では、せっかくのテレワーク環境も台無しになってしまいます。
間取りの注意点と、より快適なテレワーク環境をつくるための工夫について解説しますので、マイホーム購入時にテレワークスペースを検討されている方はぜひご参考にしてください。
テレワーク部屋をつくるメリット
テレワーク部屋をつくるメリットとは何でしょうか?
業務の形態によりさまざまですが、一般に言われていることは下記になります。
- 通勤時間が無くなり、余暇などに使える時間が増える
- 家族とのコミュニケーションを取る時間が増える
- 他人の目を気にせず自分が快適と感じる仕事環境で業務をこなせる
- 首都圏の企業に属しながらも、土地の安価な地方都市への移住も可能になる
テレワーク部屋をつくるときは、これらのメリットを最大限に生かすために、建物の間取りや設備の工夫で出来ることを突き詰めて考えるのが成功のポイントです。
テレワーク部屋をつくるときの注意点
テレワーク環境は自分のプライベートな空間でリラックスできて仕事がはかどるイメージを持たれる方が多いと思います。ところが実際には様々な理由で仕事のパフォーマンスを落としてしまう弊害もあります。
これらの問題を避けるために、設計士とともに解決策を入念にチェックするようにしましょう。
実際にテレワークを経験者の方々から、よく聞く問題点を挙げてみます。
- オンとオフの切り替えが難しく、メリハリの無い生活となってしまう
- 家族とのコミュニケーションは増えるが、気を取られてしまい仕事に集中する環境が作りずらい
- 通信環境が安定せず、接続トラブルで映像や音声が途切れ、相手先からの不興を買ってしまう
- 家族が間違って触ってしまい、データの誤消去、書類の紛失や汚損などセキュリティ管理が難しい
- 転職や勤務形態の変更でテレワークの機会が激減し、部屋が空いてしまう
使いやすいテレワーク部屋の工夫
マイホームにテレワークスペースを設けるメリットと注意する点について説明しました。
ここからは、使いやすいテレワーク部屋をつくるための工夫について、5つのポイントに分けて解説します。
1.快適なWEB環境のために必要な間取りと設備
テレワークはPC操作とWEB会議が基本となります。作業効率を上げてカメラ映りも良くするために、採光と照明にこだわりましょう。
日中は自然光がカメラの逆光とならないように、窓とデスクの位置関係を考慮します。デスクに座ったときの顔の正面に窓があることが理想です。
PC作業とWEB会議では適正照度が違います。
キーボードが認識しやすく、画面からの光による眼精疲労を避けるため、PC作業では机上で500ルクス以上の照度が求められますが、WEB会議の場合はそれよりもやや暗く、300ルクス程度に調節したほうがカメラの映り込みが良く、画面も見やすくなります。そのため、シーンに応じて調光や調色ができる照明器具は必須といえます。
また、テレワークで音声を聞き取りやすくするために吸音材を壁面に設置することをおすすめします。布製の吸音パネルを取り付けるのが一般的ですが、布製のソファやクッションを近くに置いても吸音効果を発揮します。
PCやネット回線の電源にはUPS(無停電電源装置)装置を設置しておくと、万が一の停電やコンセントの脱落時にもデータ消失の恐れが無く安心です。
家全体での非常電源を考えるなら家庭用蓄電池の導入もおすすめします。屋根に太陽光パネルを載せて発電し、余剰電力を蓄電池に充電し、夜間に使用すれば省エネにもなります。
2.家族とのコミュニケーションを取りやすくする
2階のホールやリビングダイニングに共有のフリースペースを設け、そこをテレワークスペースとして活用するのはいかがでしょうか。
このパターンは最も汎用性が高く、学習や趣味、家事など他の用途にも転用が可能です。
カウンターを横に長く造れば、隣で子供の勉強の様子を見ながら仕事をすることも可能です。カウンター越しに家全体の様子が分かるような配置にすると、小さな子供やペットにも目が行き届きますので、リラックスした状態で仕事に向き合えるでしょう。
なお、PC作業や書類を広げるためのカウンターは少なくとも奥行き60センチ以上は欲しいところです。カウンターに配線穴を開け下部のコンセントへ配線を下せるように工夫をすると、コードやACアダプターでカウンターの上が乱雑になることを防げます。
3.室内の高低差を生かした配置
家族やペットの存在を身近に感じつつも、もっと仕事に集中できる環境をつくりたいときには、部屋内に高低差を設けて互いの視線のズレを生み出すことが効果的です。
視線の先で目が合うと、どうしても相手の行動が気になってしまうことを避けるものです。
間取り上の工夫としては、リビングの一角を掘り下げたダウンリビング、逆に一部を30センチほど上げた小上がり、階段の途中に中2階としてスキップフロアを設けることが考えられます。
タテへの広がりで限られた空間を最大限に活用しつつ、仕事に集中できるテレワークスペースを設けることができます。
4.テレワークで育児と仕事の両立
働き方改革の一環として、女性が子育てをしながらでも快適に働ける環境の整備が求められています。そのために、子育て中の社員へのテレワークの導入を厚労省が推進しており、今後はそれが一般的になっていくことが期待されています。
育児と家事、仕事を両立させるマイホームを検討してみましょう。おすすめは、家事動線のなかにテレワークスペースを組み込むことです。
例えば、キッチンと浴室の脱衣室をつなげる間取りが挙げられます。
キッチンの食器棚の脇にカウンターを設けて、テレワークスペースとします。料理をしつつ、脱衣室から洗濯室や物干し場へと移動する家事動線の途中にテレワークスペースがあることで、家事を効率的にこなせます。料理や洗濯などの家事をしながら小さなお子様を見る必要がある場合も、キッチンから目を離さずに済むため安心です。
5.完全個室でセキュリティ対策も万全
より仕事に集中できる環境を求めるのであれば、テレワーク専用の個室を設けるのが良いでしょう。個室とすることで、ペットや小さなお子様が不用意に入るのを制限することが可能ですので、PCデータの保存や書類のセキュリティを気にされる方には特におすすめです。
机から手の届く環境に書類やPC機器を配置すると、作業効率が格段に上がりますので、あえて3畳程度の個室とするのも効果的です。その場合は、限られた空間を効率的に使うために、収納や書棚などを壁面に造り付けで設けることをおすすめします。
個室であれば防音室として設計することも可能ですので、仕事以外の時間は書斎や趣味の音楽室として使用することもできます。
まとめ
ここまで、テレワーク部屋をつくるメリットと注意点、間取りや内装・設備の工夫について解説してきました。
働き方改革とコロナ禍により、仕事の勤務形態としてテレワークが定着しつあり、この流れはさらに加速していくことが想定されていますが、注文住宅であれば、お客様のライフスタイルに合わせて日常の生活を充実させつつ、さらにテレワークに最適化した住宅を実現できます。
トヨタホームでは、“オフィス以上に仕事がはかどる快適な空間”、“家族との時間がより充実する空間“を実現するために、“くつろぐ”“はたらく”“楽しむ” を融合した新コンセプト「ファーストクラス・マイライフ」を提唱し、ニューノーマル時代を見据えたテレワーク対応住宅をお客様に提案しています。
トヨタホームの展示場では、デザインや設備だけでなく、収納や間取り・空間づくりの見どころが沢山詰まっています。
収納や空間設計のアイデアを活かしたテレワーク環境を、ぜひ展示場で実際にご確認ください。